食物連鎖の学習で生態ピラミッドが出てきますよね。
この生態ピラミッド。
問題を解いてると、突然、「逆転してる!!何で??」っていう問題にあたることがあるんです。
出てきたらわけがわからなくてびっくりしますよね。
生態ピラミッドって、栄養段階の低い生物から高い生物へと順番に積み重ねて図にしたものです。
もう少し分かりやすく言うと、食べられるもの(被食者)が一番下に、
食べるもの(捕食者)が一番上にくるようにならべた図のことです。
それなのに逆転してるなんて。
このピラミッドの逆転って、例外中の例外のような気がしちゃうんですけど、実はよくあることなんです。
この記事では生体量ピラミッドの逆転について説明していきますね。
個体数ピラミッドと生物量ピラミッドの違いって何?
逆転について早く知りたい!って思ってると思いますが、ちょっとだけ説明させてください(笑)
個体数ピラミッドとは
個体数ピラミッドっていうのは、一定の面積当たりにいる個体の数を示したものなんですね。
たとえば、1km²にうさぎが100匹いたとして(ほんとはそんなにいないけど)
同じエリアにキツネが40匹いたとして(これもそんなにいないけど)
そしてオオカミが2匹いたとする。
この数をピラミッドにすると、うさぎが一番下に、そしてキツネでオオカミの順番になりますよね。
そしてうさぎの数が一番少ない。
これが個体数ピラミッドです。
生物量ピラミッドとは
そして、生物量ピラミッドっていうのは、単位面積当たりの生物体の総量。つまり、何匹とか何個じゃなくて、〇kgとかの量で表すんです。
さきほどの例をとると、1km²あたりにうさぎが1匹2kgくらいだとすると、100匹だったから200kg。
キツネは1匹4kgくらいだとすると(もう少し大きいのかな?)、40匹だから160kg。
そして、オオカミは50kgくらいかなぁ?2匹だから100kg。
そうすると、うさぎ200kg、キツネ160kg、オオカミ100kgで、栄養段階の下のうさぎから積み重ねていくと、ピラミッド型になりますよね。
これが生物量ピラミッドです。
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個体数ピラミッドの逆転はこんな時に起こる
それでは本題の1つめ。個体数ピラミッドの逆転です。
個体数ピラミッドの逆転って言うのは、栄養段階が下の生き物よりもなぜか上の生き物の方が数(個体数)が多くて、ピラミッドが逆転しちゃうことです。
よくあるのが『桜の木についた毛虫』の話。
「Z会知識の焦点」にも例を挙げて書いてあります。
説明していくと、
1本の桜の木があります。
この桜の木に寄生する毛虫は桜の木を食べるので、桜の木よりも栄養段階は上になります。
でも桜の木は1本。寄生する毛虫は何十匹といますよね。
ここでまず、ピラミッドの逆転が起こります。
さらに、この桜の木に寄生する毛虫に蜂が卵を産んでいることがあります。
毛虫1匹に対して、1個の卵を産む蜂もいれば複数個の卵を産む蜂もいますが、ここでは複数個を産む蜂だと考えると、毛虫が1匹なのに、蜂は2匹や3匹いることになりますね。
毛虫が食べられる側(被食者)なのに、蜂(捕食者)の数の方が多いんです。
さらに、その蜂にダニが寄生したら、また蜂1匹に対して複数匹のダニがいることになって、ピラミッドの逆転が起こるんですよね。
もとは桜の木1本だったのに、毛虫が増え、蜂が増え、ダニが増える。
これが、個体量ピラミッドの逆転です。
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生体量ピラミッドの逆転はこうだ!
個体量ピラミッドの逆転は分かりやすいから、参考書を読んだら大丈夫!っていう人も多いんですけど、生体量ピラミッドの逆転はちょっと難しいんです。
インターネットで調べても動画で説明をしてくれている人はなかなかいないんですよね。
生物量ピラミッドの逆転は、それだけレアケースなんです。
つまり問題にもあんまりでないかもしれません。でもたまに出るからやっかいなんですよね。
この生物量ピラミッドの逆転って言うのは、一部の海で実際に見られます。
生物量ピラミッドが逆転している海では植物プランクトンより動物プランクトンの数の方が多いんです。
普通は、植物プランクトンより動物プランクトンのほうが数が多かったら、植物プランクトンは食い尽くされて絶滅してしまうんじゃないかと思いますよね。
でも、良い感じに均衡が保たれている。
それはなんでなのか?
それは、動物プランクトンに食い尽くされる前に、植物プランクトンが増殖するからなんです。
1匹の植物プランクトンに対して動物プランクトンが2匹いたとしますよね。
動物プランクトンは1時間に1匹の植物プランクトンが食べたい。
その時、植物プランクトンが1匹しかいないと、動物プランクトンのごはんが足りません。
でも、この植物プランクトンが1時間に3個に増殖すれば。
1時間後に植物プランクトンが3匹。動物プランクトンは2匹。
この瞬間に動物プランクトンは植物プランクトンを1匹ずつ食べる。
そうすると、また植物プランクトン1匹と動物プランクトン2匹です。
これを繰り返しているんですね。
実際には、ベントスって言う水底でくらす生物も動物プランクトンは食べているようだって言われてるんですけど、この辺りはまだ未解決なので参考書には詳しくは書かれていないんです。
ということで、ざっとまとめてこの状態の海では、生物量ピラミッドの逆転が起こっているって言われているんですね。
逆転したまま生態系が戻らないのは外来種の流入のせい
もしこういうケースじゃないのに生物量ピラミッドや個体数ピラミッドが逆転してしまうとしたら、外来種の流入が考えられます。
突然入ってきた新参者が、被食者を食べまくって在来種がいなくなってしまうんですね。
こういう外来種を「侵略的外来生物」って言ったりするんですけど、こういう外来生物は従来の生態系を破壊したり、在来生物と交配したりします。
そのうち、もともといた生物がいなくなってしまうんです。
外来種と在来種が交配して在来種がいなくなって新種ばかりになってしまうことを「遺伝的攪乱」って言います。
遺伝的錯乱は、ブラックバス(オオクチバス)とか、ジャワマングース、ブルーギルっていう外国の魚が日本の湖や池に放流されて在来種がいなくなってしまったっていうのが有名なんです。
あと、このブラックバス(オオクチバス)とジャワマングースとブルーギルは選択問題でよく出るから覚えといてくださいね。
生産力ピラミッドは逆転しない
生態ピラミッドの中にはもう1つ、生産力ピラミッドというものもあります。
生産力ピラミッドは、単位面積当たりに生産される有機物の量を示しています。
この生産力ピラミッドは逆転することは無いんです。
生産力というのは、1段階上の栄養段階の捕食者が利用できるエネルギー量のことなのです。
捕食者より被食者の方が有機物量が大きくなると、ごはんが足りないのにどうして生きてるの?っていう状態になってしまうんですね。
まとめ
生態ピラミッドの逆転について説明しました。
個体数ピラミッドが逆転するのは、寄生状態にある生き物のとき。
生物量ピラミッドが逆転するのは、一部の海域のプランクトン。
ということでした。
生物を独学でやっている人におすすめなのはスタディサプリ。月額980円で塾に行ったような授業が受けれます。もちろん生物の内容も網羅されていますよ。分からないところだけ無料体験で見てみるのもいいですね。
こんなものに頼らないぜ!という人は、Z会知識の焦点を持っておきましょう。
分からないところがないくらい、生物の内容は網羅されています。
医学部を目指している人はこの問題集は必須です。
生物の勉強法はこちらの記事にも書いているので、読んでみてくださいね。
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